この絵のある壁はグレーとブルーがたくさん使われていて、搬入の日今までと違う色合いだなという印象でした。向かい側の壁は昨日紹介した「春」のシリーズなのでパステルカラーと寒色系で対照的な色使いに見えます。
この壁は2年前にはまだのりこさんが尾道に一週間滞在した時のイメージを絵にしました。「思い出を作品にすることは今までなかったけど、このゆったりした風土の中に身を置いた感覚を絵にしてみました」と。
まさにメロウな時間だったのだろうと思います。
こういう色合いをアイスカラーというのですが、はまださんの絵はアイスカラーなのに全然冷たくない。それはきっとゆったりした時間の流れがここに見えるからなんだと思う。
そしてほんの少しの鮮やかな赤や黄色がスパイスのように使われている。それが絵の温度を上げている。
初めてこのシリーズを目にした瞬間は「色が変わった」と思ったのだけど、しばらくすると、そこにある色は今まではまださんがよく使ってきた色だったことに気が付きました。今まで使っていなかった色を使ったのではなくて色の分量のバランスが変わったのだということに気づきました。それだけのことで印象が変わることも面白かった。
本当はこの絵の壁を見てほしい。この絵だけでなく壁にある作品群の塊全体から見えてくるものがあります。是非観に来てください。