小平治さんは着付け師でもありますのでいつもたくさんの着物と生活しています。それだけではなく家業が貸衣装屋さんを営んでいた、今も貸衣装屋さんでもあるという生まれ育ち生業(なりわい)なのです。
いつも呉服に囲まれていた。それは尾形光琳をはじめとした何人かの著名なの画家の環境にとてもよく似ています。
そういう目で見てしまうせいか、小平治さんの絵は手描き友禅を彷彿とさせるものがあります。特に少しお年を召した方にふさわしい落ち着いた黒留袖の柄を見ているような錯覚に陥ります。
柄といっても留袖の場合着物地に描かれているので「柄」と言ってしましますが、「絵」ですよね。
そんな話を小平治さんとしていると「自分の育った環境が絵にいい影響があるのなら、それは嬉しいことです」とおっしゃっていました。
彼の絵はいろいろな場所に行って自分が感動したらその場で描くのだそうです。
好きな風景を小平治の目を通して見て、そして小平治の手で描きだすと、それは小平治の風景になる。