前回の個展の前から板倉鉱司さんは「空を飛ぶ」ということについて何度も話をしてくださいました。
「どうしたら空を飛べるのか真剣に考えている」とよくおっしゃっていました。
とてもまじめな方なので与太話などではありません。
板倉さんは歌人(短歌を詠む人)でもあるので、極めて詩的で精神的な思考なのだろうと思います。
この作品のタイトルは「羽化する意識」
空を飛ぶには羽根を手に入れなければならない。
空を飛ぶものは飛行機でも鳥でも昆虫でも羽根が必要。
「羽化」となるとこれは昆虫の世界。
板倉的空を飛ぶは昆虫のように「羽化」という過程を通って飛ぶのか。
そしてそれには「意識」が必要なのだろうか。
「羽化する意識」を形にするならばこういう形ってことなのだねと、凡人の私はまるで見当違いなことを考えている。
だけどきっと考えるだけ無駄だよなんて冷たいことを板倉さんは言わない、と思う。そうやって作品とお話ししてくれたら嬉しいって言ってくれそう。いや、板倉さんじゃなくて作品がそう言っているもの。