空2ー花井正子展

夜の風景の中に小さな明かりがある絵は随分前から描いているけれど、ここ数年そこに月があらわれた。

この絵。

少し不穏さを孕む雲に浮かぶ月。

実際に見る月、私にとっては冷静で無表情なことが多い。
この月はどうだろう。どこか腑に落ちないざらつきがある。
どう観たらいいのかというちょっとした戸惑い。

灯には人の存在があるけれど、月はこの星の人々の暮らしとは無関係に光り輝いている。花井正子の心の中にはもうとっくに別の何かが蠢いている。
蠢きは少しばかり私を嘲笑している。

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