目指すところー谷口広樹追悼展

谷口作品にあこがれる人はたくさんいると思います。
目指すところとした後進の徒も数知れないのは想像に難くない。

随分前のことになります。
谷口さんが初めてプリズムに現れた日、溝渕美穂さんも彼に会いに来ました。
彼女は「私の神です」とまっすぐな目で言いました。

「神」とまで言われれば谷口さんはたじろいだことと思います。

以来少なくともプリズム周辺では谷口作品を誰よりも深く見続けてきました。
それは谷口さんもよくわかっていたことでしょう。そこまで見続けられていることにいい意味での緊張感もあったのではないでしょうか。もちろん溝渕さんだって谷口さんに作家としての成長を見守ってほしかったはずです。

12,3年前にこの二人の二人展はきっと面白いはずとプリズムはオファーを出しました。プリズムは二人展三人展をめったにやりませんが最初からの出会いがすばらしかった二人ですから、とても楽しみでした。

ほとんどそれぞれが別々に制作をしましたが、数点だけ共作をしてくれました。
この作品がそのうちの1点です。完全に共作で溝渕さんが描いた上に谷口さんが描き加えて仕上げたそうです。こういう作品は感性がものすごくずれているかよく理解されているかバランスのとり方が難しい。それぞれへのリスペクトなくしてはできない仕事です。

先日溝渕さんが「100歳になってよれよれの線で描いた谷口さんの絵が観たかったな」とおっしゃいました。みんな観たかったよね。まだまだ描き続けてほしかったよね。

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