率直な物言いをすればこの展覧会のGokiはオーソドックスな路線にいる。
面白い展示ができるのかと私の気持ちは前向きになれないでいた。
仕事はテレワークだし、不要不急の外出はしてはいけないのだから、新しい洋服を買うという気持ちになれないのは当然と言えば当然なのだ。
ここ1年Gokiのデザインもコロナ仕様だ。
カットソーしか売れないという情報もあった。
ウチで仕事するなら楽なほうがいいし、Gokiのカットソーならまったくの部屋着には見えないからうってつけなのだ。
だけど今回はそれとも違う。
カットソーはそれほど多くなくて、布帛のオーソドックスなデザインが目立つ。
ただベーシックなのだ。
緊急事態宣言が出ても、そうそうウチに閉じこもれないのだけど、攻めた服はこの時期憚れるといった事情からのようだ。
ベーシックは展覧会場のビジュアルとしてはちょっと物足りない気はする。・・・が、そんなはずはない。Gokiなんだから。
2021年のGokiを毎日触っていると気づくことがあった。
ベーシックだからわかるのだけど、やっぱりGokiの服は美しい。
加藤裕之さんのパターンの引き方はすごくきれいだとたびたび耳にしてきた。
パターンを引くとは服を作る設計図のようなもので、絵で言えばデッサン力みたいなものだろうか。こういうニュアンスの服が作りたいをちゃんと形にするための技術だ。ひとたびGokiの服を着たら必ず美しいシルエットになる技術。
奇抜なだけがデザインではない。
こういう時代なのだからベーシックな美しさを知っていただくには最高なのかもしれない。