大御所(なんて書いたら音部さんに叱られそうだけど・・・)の音部訓子さんにまで「蛙の過去作品ありませんか?」と聞きました。それほどプリズムは切羽詰まっていたのです。理由を話すと「過去作はないけど描きますよ。」と言ってくださいました。
搬入の日「話聞きながらもう頭の中で絵が出来上がっていたのよ。だから楽しく描いたわ。」とおっしゃいました。なるほど楽しそうな蛙のファミリー。
秀作が出来上がるとき、呻吟して苦しむこともあるけれど、するっとでてくることもあります。どちらが良いとか悪いとかはありません。呻吟した割によくないこともあるし、七転八倒の末に傑作が生まれることもあります。するっと出てきたものは浅いねということもあるし、もうこれ以上のものはないという時もあります。
ただ瞬時にその絵のバックボーンが頭の中に浮かぶときは成功することが多いとも聞きます。
この蛙の絵では「蛙をテーマにと聞きながら蛙のファミリーがさぁっと浮かんだので、描きたいと思ったのよ。」と。まさにそういう瞬間だったのでしょう。ファミリーを大きな絵にしてその中のチビ蛙を2匹小さな絵にしてシリーズで出品することまで浮かんだというのです。さすがにベテランの展開です。
音部さんのこの蛙の絵を観ていると「大丈夫よ」と音部さんが微笑んでいるように見えてきます。