Gokiーwarm&cool

「cool」といえばGokiと言いたくなる。
そしてGokiこそ着てみなければわからない繊細なディテールにこだわったデザインです。

このセットアップはトロンとした生地で作られているのでハンガーにかけてあるだけでは美しさが多分全く伝わらない。体が入ると体に沿った美しさとブラウスの斜めに入った打ち合わせのギャザーが作るドレープがエレガントというしかない。

ブラウスは七分袖というより八分袖なのでこれからの季節長袖のカットソーを合わせるのがいい。ブラウスの袖から出る長袖の色に着る人のセンスが問われるけれど、それはそれで着る甲斐があるというもの。

コロナ禍でGokiのデザインも攻めたものが鳴りを潜めていましたが、久しぶりにらしいものを見せていただいた気がします。

momijiーwarm&cool

羊が人間の衣食住すべてを賄えるって知っていましたか。
遊牧民族は羊の毛や皮を衣とし、肉や乳を食とし、住も毛や皮で作るという生活をしています。

momijiさんはそのことを知り羊が大好きになりました。気が付けばビジュアルは何とも愛くるしくmomijiさんにとって羊はオールマイティな存在なのです。

羊の毛を紡いで糸にして織もしました。
今はフェルトが作品の主流ですが、「羊が好き」が作家活動にまでなってしまったのです。そこまで羊が好きな人に今まで出会ったことはありませんが、momijiさんの羊好きはとにかく筋金入りです。

かつては羊を自宅で飼うことまで考え、羊牧場にまで行ったそうですが、住まいの環境で牧場の人にNOを突き付けられらたこともあったとか。
自分で育てた羊の毛で作品が作れたら理想なんだそうですが、それはとうとう叶わなかったのですね。

大好きな羊の毛でフェルト作品を作り、それでみなさんが喜んでくださるのなら最高ですね。

蛇足ですが、momijiさん羊の料理も大好きで内臓ももちろん好きだということです。

よしだ律ーwarm&cool

革ブローチのよしだ律さんが作品を作り始めたのはほんの2,3年前のことです。

クラフト系の作家の場合そのジャンルの技術をある程度習得し作家としての引き出しをいくつも作ってからでないとデビューは難しい。よしださんの場合はその期間も短いしこのブローチに関しては先生について研鑽を積むという経験もありませんでした。

丸く切った革を組み合わせただけのブローチなのにそれはとてもチャーミングだった。研鑽を積むことは大切なことだけど彼女の中にあるとびきりの感性をしばらくしまっておくのはいかにも残念な気がしたので、グループ展に誘ってみたのです。以来どんどん作品を作り評判も良く今に至るのです。異素材を使ったりほかの形も試してみたりしていますが、丸だけの作品に勝るものはもう少し先のようです。

素材の研究や技術の習得は制作上必要になったときその都度研鑽を積んでもいいのかもしれません。そういう考え方は違うとおっしゃる方がいるのは重々承知の上ですが、年齢的なことも考慮に入れてこういう進み方もあってもいいのではないかと思っています。

いろいろな大きさの丸を組み合わせただけなのに無限に広がるよしだ律の世界は本当に美しい。
足りないこともたくさんあるかもしれませんが、今ここにあるブローチの魅力を知ってほしいと思います。

大好きなもので展覧会を構成するーwarm&cool

「warm&cool」のコンセプトを作り上げるキーポイントはよしだ律さんの「大好き」だった。

よしださんはずっと前からGokiデザインの大ファンでした。
聞けば彼女のブローチはGoki に着けたいが根底にあると言う。

それならばいっそのことその感性をそのままコンセプトにしてみようと思ったのでした。季節は秋冬なのだからもう1つの「大好き」momijiさんのストールも入れたらきっとさらに楽しくなりそうだと企画を立てました。

Gokiはファッションデザイナーだけど量産のブランドでもあります。作品(商品)は1年も前からプロジェクトが始まっているのであとの二人とは制作の過程もスピードも違う。その違いも受け入れての企画となりました。

よしださんとmomijiさんは作品ができる度にメールで作品を見せあった。それを観てそれに合うよう次の作品のアイデアを練る。お互いの作品にリスペクトがあるから相手の感性を受け入れる。そして再構築する。

搬入の日はじめてそれぞれの完成品を見ることになったのだけど、どれとどれを組み合わせるかはどんどん決まっていった。

だけど、会場が1つの作品という考え方でそれぞれのコーディネートを展示していくとなんだかちぐはぐが出てくる。全体のバランスを考えながらの展示作業はなかなかハードだ。1体1体のコーディネートほどうまくいかない。
それでも「warm」の壁と「cool」の壁に分けるという考え方で会場を構成していったらすっきりした空間ができてきた。

会期中展示品をその場でお渡しすることもあるので空間はその都度変化していくことになりますが、それも楽しんで観ていただけたら嬉しいです。

花井正子展ー最終日

「花井正子展」本日最終日です。
2年後にこの続きを発表していただけます。楽しみにお待ちください。

ギャラリースペースプリズムではこの後10月8日(土)「妖怪芸術祭ー百鬼夜行」を開催します。日本画(水野加奈子)唄(華房小真)トーク(島田尚幸)という豪華イベントです。午後2時からの部はすでに満席ですが午後6時からの部には余裕がありますので是非ご予約ください。予約はメールからのみとなります。
withsns.prism.gmail.com

10月13日(木)から23日(日)*火曜休廊  「warm & cool」暖かくかっこいいファッションをご覧いただきます。革ブローチ(よしだ律)ストール(momiji)アパレル(Goki)

港ー花井正子展

花井正子さんはほぼ下描きをしないのだそうです。

白い紙を前にその日その時描いてみたい色を手に取り色を塗り始める(擦り込み)始めるそうです。選ばれた色は大好きな色のことが多く、時にはその色を使いつくしてしまう。さてどうする?使い尽くしたら同じ色は無いけれど、それに馴染む色を選び続きを描く。

そんなこんなしているうちに、無計画だった画面になんとなく風景が浮かんでくる。描き進めるとどんどんストーリーができていき、いつのまにか自分も絵の中に取り込まれている。

この絵もそうやってできたのかどうか・・・はわからないけれど。

明日10月2日(日)は最終日。

昼の月ー花井正子展

存在感がなさそうなのに妙に気にかかるのが昼間のお月様。
目が離せなくなることってありませんか。

世間はそれとは無頓着に昼間の生活に追われている。
夜にあるはずの月がそれとは関係なく朧げに昼の空に浮かんでいる。

この絵のように時空に歪みがあるのかもしれない。

が、昼の月は現実。
ありもしないことではないのに、ありもしないことのように思ってしまう惑いの月。

有明ー花井正子展

未だ夜が明けきらぬ時間「有明」
そんな時間の空気が1日で一番清潔なだと花井正子さんは言います。

その清潔な時間の空気感が描きたくてこの作品が出来上がりました。

目を覚まそうとするもの、眠りにつこうとするもの。
正と邪が入れ替わろうとするとき。

 

半島A-花井正子展

ただそこにある風景を絵にする。

風景には意図はない。
絵描きはそこに何か個人的な心を投影して絵にするのだけど、冷徹なほど風景は絵描きの心には無関心だ。そもそも風景に心などないのだから当たり前と言えば当たり前なのだけど。

絵描きは絵描きで元々ない景色の心など一向に慮ることなくその景色には無関係な何かを描き加える。しかし、絵描きにとってその何かはとても重要なのだ。

心のありようをただひたすら淡々と描き加える。

絵描きと風景のせめぎ合いを観る側は何事かと、考える。あるいは通り過ぎる。

空2ー花井正子展

夜の風景の中に小さな明かりがある絵は随分前から描いているけれど、ここ数年そこに月があらわれた。

この絵。

少し不穏さを孕む雲に浮かぶ月。

実際に見る月、私にとっては冷静で無表情なことが多い。
この月はどうだろう。どこか腑に落ちないざらつきがある。
どう観たらいいのかというちょっとした戸惑い。

灯には人の存在があるけれど、月はこの星の人々の暮らしとは無関係に光り輝いている。花井正子の心の中にはもうとっくに別の何かが蠢いている。
蠢きは少しばかり私を嘲笑している。